情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
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「久遠・・・マジで『桐生建設』の副社長様なんだ」

「俺は忙しいんだ。用件は手短にしろ」

「・・・そんな風に私に冷たくしていいの?」

「セレブ婚に憧れてるのは分かっているが、生憎俺にはフィアンセが居る」

「そこの色気のない地味な秘書でしょ?名前は確か、日葵さんだっけ」
涼子さんは私を完全に見下していた。

「色気はないけど、一応『金森薬品』の社長令嬢だ」
庇ってくれるのは嬉しいけど、蓮の言葉には棘があった。

「どうせ色気はありませんよ」
私は開き直って、蓮にそっぽを向いた。

「向きになって怒る所が幼稚なんだ。まぁ~お前は男性経験ないし、色気ないのは仕方がないか・・・」

「蓮、余り日葵ちゃんを苛めてやるなよ」
蒼斗さんが蓮を嗜めてくれた。

「涼子さん、セレブ婚が望みなら、俺が相手になろうか?
俺は君も知っている大手アパレルメーカー『ブラックベリー』の御曹司だ」

「『ブラックベリー』!!?」

「うん。俺は蒼斗。よろしく。蓮よりも強いし、Hも上手だよ」

「おいっ!?蒼斗!!?」

「蒼斗さんか・・・」

涼子さん、乗り換えが早い。
「蒼斗!!?」
蓮は色素の薄い瞳で、蒼斗さんを睨み据える。

「そう怒るな。蓮・・・」

蒼斗さんは蓮の耳許でこちょこちょと囁いた。
蓮の険しい顔が緩んだ。


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