意地悪な片思い

認めた二文字


 カーテンからわずかに差し込む光。時が経つにつれて明るさを増していく部屋。

スース―鳴らせてた音もだんだん小さくなって、私は夢から覚めていった。

朝だ。虚ろな頭で私は思う。
寝起きの狭い視界で広がってるのは、観葉植物とモノクロのカーテンだった。

あ、パキラ…そっか、私朝までいることにしたんだっけ。
やっぱりどうしても、
速水さんが気になっちゃって。

それで―――朝食作るだけ作って、彼が起きる前に帰る予定に変えたんだよね。
カギの場所も結局聞き忘れちゃってたし…


速水さん熱下がったかな、
ばれる前に帰らないと。私は上半身を起こす。

あれ?布団、こんなに厚かったっけ。
布団の色も……灰色なんだけど?

というかここ―――

「起きたの?」

「へ?」
 聞こえてきた方に顔を向けると、速水さんが髪をタオルでふきながら立ち尽くしてる。

お風呂でも入ってたのかな。
髪がかすかに濡れて、まくってる袖から覗く腕とか鎖骨とかやけに艶っぽい。

起きたばかりだってのに、朝からドキドキさせられてしまった。


「お、きましたけど……。」

「風邪ひくぞ。今日寒いから。」
 彼は布団に紫のパーカーを投げた。

着ろってこと?私はそれを手にとる。
確かに寒いけど…本当にいいのかな。

大きそうなパーカー。速水さんのだから当然か。

布団から私はゆっくり立ち上がる。ご厚意に甘えて私はそれを羽織うことにした。

着てるグレーのトップスだけじゃ肌寒くて。

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