意地悪な片思い

 テーブルの上に置いたメモ用紙のタイトルは、『速水さんと話すことリスト』。
その下に私は1、2、3と数字を3つ書き並べている。

 何でこんなものがあるかというと、週末を迎えた今日、速水さんに今から電話をかけるから。
いっつもからかわれてばっかりで、つい脱線しちゃって、こんがらがることばかり。

だから私的に話したいことを、一旦言葉にしてみることにしたんだ。買い物に出かける前、買わなきゃいけないものをメモしておくみたいに。

そうしたら、速水さん相手でも、ちょっとぐらいは予定してた話を展開できるかなって。


とりあえず、2つはもう決まってる。

1つ目は当然、飲みのこと。
うん、これはまず決定。お店に疎い私は、速水さんにまかせっきりで申し訳ないけど、たぶん今回も彼が提案してくれるのかな。

2つ目は、これからのこと。
うん、これも確定だな。

電話でまず言っちゃおう。「これから」のこと、飲みの時にお話ししてもいいですかって。
そうしたら速水さんも例の見透かしを発動させて、きっと嫌でもそういう雰囲気になると思うから。


うーんと3つ目何かあったかな。
ペンをくるっと指の上で回転させた。

と、横に置いていた携帯が鳴り始める。

< 251 / 304 >

この作品をシェア

pagetop