意地悪な片思い

「何かそう言われたってことは、私と付き合ってた時そういう認識も少しはあったのかなって思っちゃって。
結局体かーみたいな。

そっから男の人が下ネタ言うの聞くたびに、この人も体だけなのかなとか男の人に対する不信感が湧いて、

好きだから…キスしたり、抱きしめたり、その先もって私は思ってたのに、男の人は違うんだーって。」

「市田。」

「はい。」
 やっぱりこんな深刻そうに話すべきじゃ無かったな。もっとお茶目かして言わないと、速水さん、反応困っちゃうじゃん…

「ごめんね。」

「え?」
 なんで謝るの?

「市田が好きになった人だから悪く言うのはどうかなって思うけど、

俺そいつにもし会うことがあったら、一発殴りたいわ。」
 冗談口調で彼は少し笑って告げる。

「……はやみさん。」
 でも、口調は穏やかでもどこか怒ってくれてる雰囲気。

「そう言って貰えただけで十分ですよ。」
 私は少し笑って答えた。

「友達とかに同じように聞いてもらったことあるんですけど、」
 電話友達の遥に。

「そんな真面目に話してたら気遣わせちゃうんで、面白半分に教えることが多くて…。」
 心じゃ、結構まだ重い思い出でも。

「俺には気遣わなくていいから、そのまま話してよ。全部受け止めるから。
市田のこと、俺もっと知りたいって思ってんだよ。」

「……うん。」
 彼の言葉はいつも優しくて、私の心に真っすぐ思いを飛ばしてくれる。
だからかな、なんか今、

「泣いてんの?」

「んー?…泣いてないですよ。」
 電話を少し離して、鼻水をすすった。

「泣いてんじゃんか。」
 涙も見透かされちゃうんだね。

「その男と連絡とってないんだろ?」

「…たまに向こうからくるんで、無理やり終わらせてるというか。」
 幼馴染で、親同士も知り合いだから切りにくい縁ってのもあって…

「まじ?」

「でも、1年に1回ぐらいの少ないペースなんで、全然…」

「あほ。」
 え?

「嫌ならいやってはっきり言っていんだぞ。
何、平気で連絡してきてんだ、くそ男ー!とでも言ってやれよ。」

「…ばか。」
 泣いてる私を笑わせようと彼はわざとおどけてみせる。

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