意地悪な片思い

 会社につき、席に座るや否や私はすぐに今日は使う用事がないノートを立てらかした。白いコンピューター画面の横に不釣り合いな黄緑色のノートがそびえたつ。

立てらかしたときに藍色の背中が見えなかったあたり彼はまだ来ていないようだ、私はほっと胸をなでおろした。

さ、仕事仕事。
パソコンを起動させカバンから書類を取り出した。



 午前中にあった今日一番の大詰めである会議を終えると、私はそのまま昼食に入った。相変わらずノートはそこにある。

まぁよく考えたら1か月半何も彼となかったわけだからそう都合よく、今日に限って面会するなんてヘマ起こるはずないんだけど。

「はぁ。」
 私は一つため息をついた。

慰めるように鞄にいれていた缶コーヒーを取り出し、それをカチャっと開ける。長嶋さんが差し入れしてくれた牛の柄の奴だ。

給湯室も利用しているけど、頑張った日とか気合い入れる日とか理由をつけてはこれをたまに買って贅沢してる。

差し入れしてくれた日に飲んだそれとは味が落ちるけどね。


 午後はこの間提出した奴の見直しして、来年の企画書も見直してえっと資料は……青いファイルだっけ。さっき会議に間違えて持って行っちゃったからこの横の塊の中だな。

デスクの隅にタワーのように7冊ほど積み重なったファイルをじろりと見た。

早く食べなくちゃ、仕事山盛りだ。
パクっと手に持っていたおにぎりを頬張った。

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