クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
……それって……私のこと……?

「何だよ、江田、お前そんなウザイ女に付きまとわれてたのかよ」

他の男子も、面白半分に話に入ってくる。

ウザイ……女……。

「江田、長年付き合ってた彼女と別れて、落ち込んでた時に、その女と出会ったらしくて、試しに付き合ってみたら、結構、重い女だったらしくて……」

「相川、いい加減にしろよっ!」

彰斗が相川くんの言葉を途中で切るように叫んだ。今にも掴みかかりそうな勢いだ。

周りにいた人々が何事かと、こちらを見ている。

「もう、二人ともやめなよ」

アヤちゃんが呆れ顔で言った。

「ごめん……こんな場所で話すことじゃなかったな」

相川くんが彰斗に謝る。彰斗は何も答えなかった。

相川くんは何も知らない。だから、単に常識として、祝いの場でこんな話題を持ち出すべきじゃない、と彰斗が怒ったんだと、相川くんは感じたんだ。

でも、彰斗が大声を出したのは、それだけではないことを、私は知ってる……。


その時、ちょうどバスの乗車案内が始まった。



走行中、隣の席に座ったアヤちゃんが何か話し掛けてきたけど、ほとんど内容は頭に入ってこない。

考えるのは、さっきの相川くんの言葉。

……前の彼女を忘れるために、試しに付き合った……。

もし、それが本当で、その彼女が私なのだとしたら……


彰斗にとって、私は一体何だったんだろう……。








< 108 / 167 >

この作品をシェア

pagetop