クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
やがて、バスは駅前に到着した。

皆で降りて、夜の繁華街へと足を踏み入れる。

土曜日の夜はこの時間でも、人波が絶えることはない。

でも、私の気持ちは街のネオンの光とは真逆だった。

「香奈ちゃん、どうしたの?」

アヤちゃんの声で、顔を上げる。そこで初めて、前を行く集団よりもだいぶ間が空いていることに気付いた。

心のみならず、足取りまで重くなってたみたい。

あの話の後で急に抜けたら、皆にどう思われるか気にして、言い出せなかったけど……。

……もう、無理みたい……。


「アヤちゃん、ごめんね。私、今日はもう帰るね。なんか、体調悪くなってきて……」

「えっ、大丈夫?駅まで送ろうか?」

「ううん、そこまでひどくないから。ありがとう。……本当にごめんね。皆によろくしね」

私はその場を離れ、来た道を戻り始めた。

足早に、人の波の間をすり抜けるように進む。

このやり場のない気持ちを、何とかして落ち着かせかった。

あの角を曲がれば、駅前の広場に出る。

このまま、何も考えずに、帰ろう。





「!」

そう思った矢先、後ろから腕を掴まれた。

ハッとして振り返ると--

「……彰斗……」

表情を強ばらせたままの、彰斗がいた。

「何よ……離して」

声が、かすれる。


「……香奈、さっきはごめん……」



彰斗の口から、それを聞いた瞬間、抑えていた感情が、内側から一気にあふれ出た。



「……やっぱり、さっきの話は私のことだったのね!? わざわざ追いかけてきて謝るなんて、バカなんじゃないの!」



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