クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「仕事も出来て、周囲から信頼されてて、小野原課長は俺の憧れだった。だから、香奈の部屋から出ていく課長を見た時、絶対に敵わないと思った。……何か、香奈が遠くに行ったような気がして、焦って……昨日あんなこと言ってしまったんだ……。バカだよな、そんなこと言っても、香奈の気持ちが戻ってくるわけないのに……」

「……」

「香奈がキレイになったのも、いきいきしてるのも、あの人の力なんだな……。小野原課長のこと、好きなんだろ?」

「……うん」

私は真っ直ぐ、彰斗を見た。

彰斗に何を言われても、私の心は揺るがない。



「私、小野原さんが好き」



私はぬるくなった紅茶を一気に飲み干すと、財布から千円札を取り出して、テーブルに置いた。

「いいよ、俺が呼んだんだし、払うから」

「いいの。自分のだから」

私はキッパリ言った。

「会社で会うことはあっても、二人で会うのはこれが最後よ」

バッグを取って、立ち上がる。

「さよなら」

私は彰斗の顔を見ずに、カフェの出口へ向かった。




別れを告げられた、あの時とは、逆--


彰斗を一人、残したまま。




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