クール上司の甘すぎ捕獲宣言!
「でも、元カレと偶然転職先が同じだったなんて、運命の神様のイタズラにしても、ちょっと悪質よね」
夕食のコロッケを口に頬張りながら、志帆が言った。今日のメニューはその他に、ビーフシチューとサラダ。久しぶりに二人でワイワイ言いながら作った料理は、やっぱり美味しい。
「だけどさ、そんなの気にしててもしょうがないくない?、って言いたいところだけど、香奈の場合、彰斗さんが初めて出来た彼氏だもんね。しかも長く続いた」
「……一年だけどね……」
「忘れようとしてる時に、顔見ちゃうと、またいろんなこと思い出しちゃうんだよね。まるでその都度、治りかけのかさぶたを剥がして古傷に塩を塗りたぐってるようなもんでしょ。そりゃ、治りも遅いわ」
「……う……ん」
こちらの心境をズバリ言い当てられる。
「大体こういうのは、二十代前半で経験して、自分なりに治癒能力身に付けるもんなんだけどね」
「どうせ、私は恋愛初心者ですよっ」
「ほら、そんなに拗ねないの」
志帆はグラスに入ったビールを飲み干した。彼女は飲める口なので、ビール缶が次々と空になる。
「それで、香奈はどうしたいの?」
「……このままでいいとは思ってないよ。時間が経てば、忘れると思うし」
「時間?別れて何ヵ月経つの?ちっとも時間が解決してくれてないじゃん」
「……」
志帆センセイの指摘は厳しい。
「……だけど、顔を見ないようにするためだけに、また転職するのは……」
今の仕事ぶりを、笹倉さんも、小野原さんも(遠回しにだけど)、誉めてくれた。だから、絶対にここで辞めたくない。