婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「いいから来い。上に上がれば暖房使える部屋があるって言うのに、こんな寒風に晒されて話しててもバカらしいだろ。……ほら」
短い一言で促されて、私は心のどこかでまだ迷いながらも、花壇からゆっくり立ち上がった。
樹さんの言う通り、ずっと冷たい風に晒されていたせいか、しっかり地面に足を着いてもなんだか動作がギクシャクしてるように感じた。
お尻もすっかり冷えてしまっている。
それでも足を踏み出す私を見て、樹さんは自動ドアを通り過ぎていった。
受付のコンシェルジュさんに『お二人ですか、珍しいですね』と声を掛けられて、ぎこちなく愛想笑いを返すだけ。
無言のままエレベーターに乗る。
部屋に入りドアに鍵を掛けた途端、樹さんが私の腕をグッと強く掴んで引っ張り出した。
「えっ、樹さん、あのっ……」
慌てて靴を脱ぎながらも追い付かなくて、廊下に踏み出した足が縺れる。
それでも彼は私に構うことなく、ズルズルと引き摺るように廊下を突っ切り、そのまま真っ暗なリビングを過ぎ、私の手を引いたまま自分の部屋のドアに手を掛けた。
「え……?」
なんで私まで樹さんの部屋に?と疑問が過ると同時に、開いたドアの向こうに半分押し込まれるように足を進めていた。
短い一言で促されて、私は心のどこかでまだ迷いながらも、花壇からゆっくり立ち上がった。
樹さんの言う通り、ずっと冷たい風に晒されていたせいか、しっかり地面に足を着いてもなんだか動作がギクシャクしてるように感じた。
お尻もすっかり冷えてしまっている。
それでも足を踏み出す私を見て、樹さんは自動ドアを通り過ぎていった。
受付のコンシェルジュさんに『お二人ですか、珍しいですね』と声を掛けられて、ぎこちなく愛想笑いを返すだけ。
無言のままエレベーターに乗る。
部屋に入りドアに鍵を掛けた途端、樹さんが私の腕をグッと強く掴んで引っ張り出した。
「えっ、樹さん、あのっ……」
慌てて靴を脱ぎながらも追い付かなくて、廊下に踏み出した足が縺れる。
それでも彼は私に構うことなく、ズルズルと引き摺るように廊下を突っ切り、そのまま真っ暗なリビングを過ぎ、私の手を引いたまま自分の部屋のドアに手を掛けた。
「え……?」
なんで私まで樹さんの部屋に?と疑問が過ると同時に、開いたドアの向こうに半分押し込まれるように足を進めていた。