ひと月の妹

噤む


「紫藤さん」

「紫藤星(アカリ)さん」

誰かが私の肩を叩き 後ろを向くと

佐々木財閥の佐々木圭さんが立っていた。

「佐々木さん」
 
「こんにちは」

 
「ちょっとお茶しませんか?」

「今、時間大丈夫ですか?」

「あなたと話がしたくて」

 
「あたしとですか?」

 
「ええ、あなたですよ。」


感じの良さそうな佐々木財閥御曹司の

佐々木圭さんの笑顔に「お断りします!」と

その一言が言えなくて 結局ついて来てしまった。


近くのカフェに入り それぞれに注文した飲み物を

持ち、空いているテーブルに腰かけて座った。


「あの、あたしにお話って・・・」

「実は、僕は見たことがあるんです。」

「学生時代に」

「紫藤司さんと羽島みかんさんが

 一緒に並んで歩いている姿を」

「えっ?」

「あなたも混ざっている時がありましたけど」

「あの、兄とみかんさんは幼馴染で・・・」

「知っています。」

「今、みかんさんは紫藤司さんの所にいますね。」

「あの、あたし・・・なんて言えばいいのか」

「いえ、僕は契約結婚だから大丈夫です。」


  

 
 

 

 

 

 


 

 
 

 

 
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