ひと月の妹
 
『羽島みかん』わたしは紫藤司さんのお嫁さんには

なれなかったけれど、わたしの名前が彼に嫁ぎました。

それで満足すべきよね。

姉の橋本麻美(羽島れもん)が羽島みかんとして
 
お嫁に行ったとしても、それがとてもおかしな納得の仕方だとしても・・

想い出を共有しすぎるから一緒にはいられない

それがすべての答えじゃないことも解かっている。

姉妹の中でわたしが一番、紫藤佳代子に好かれていない

その長い時間をあなたも本当は疲れていた。

わたしだって疲れていたのに 

あなたも疲れていないわけがなかった。

私たちが知らされていない何かが

紫藤佳代子さんの中に長くあった。

それが酷く向けられた対象が私だったから

今も紫藤佳代子の中に巣食う何かは永遠に

消えることがないかもしれない。

(なぜ、わたしにだけ それを向けるの?)

いつも、いつも 疑問だった・・・

紫藤佳代子は答えてくれることはないけれど・・・

司さんの結婚を機に少し落ち着いた気がする。

わたしが彼と結婚できなかったから・・

あの人の満足になれたのかな?

 

 

 

 
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