夕闇がきみを奪う前に
きみの、大切な記憶



始まりがあれば、終わりがある。

だからこそ、始めたものは終わらせなければならない。


どれだけ悲しくても

どれだけ苦しくても


それがこの世の定めだから。





目を覆っていた腕をゆっくりとおろして目を開けた。

目の前に広がるのは、あいつが入院していた病院。

今自分がいるのは、その病院の広場だった。

病院の広場は芝生で、多くの子供達が遊んでいたり、散歩している患者の姿も多くみられる。

正確な時刻は分からないが、青空に浮かぶ太陽の位置から、お昼時だと分かった。


「また、タイムスリップしたのか…」


直感的に気づいた。


でも、日付が分からない。

過去か未来かさえ分からない。

そこで俺は意を決して、病院で働いている方に声をかけた。


「あの、すいません」

「どうしました?」

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