夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
結局、青磁は来なかった。


窓際の彼の席は、一日中、冬の穏やかな木洩れ陽を浴びながら静まっていた。


風邪でも引いたのだろうか。

迷惑かもしれないけれど、メールを送ってみる。

でも、いつまで待っても返信は来なかった。


だんだんと不安と恐怖がこみあげてくる。

寝込んでいて携帯を見ていないのか、それとも昨日のことで私に怒っていて返事もしたくないのか。


そう考えれば考えるほど怖くなって、もう一度メールしてみようとは思えなくなった。


怒らせてしまったんじゃないか、嫌われてしまったんじゃないか。

怖くて怖くて、スマホを握る指が震えて、結局、その日は夜になっても青磁に連絡をとることができなかった。


明日、謝ろう。

面と向かって、ちゃんと謝ろう。


そう考えながら浅い眠りについて、翌朝まだ暗いうちに起きて早々に登校した。


でも、その日も青磁は来なかった。

その次の日も、さらに次の日も。土日をはさんで、翌週の月曜日も。

彼は一週間、学校に姿を現さなかった。


担任はなぜか、彼の欠席についてなにも言わない。

まるでもともと存在しなかったかのように名前すら口に出さない。

そのことがひどく私を不安にさせた。


「先生、青磁はどうしたんですか」


耐えきれなくなって、私は担任のところへ行って訊ねた。

先生は少し目を見開いて、


「丹羽のところに連絡はないのか? 付き合ってるんだろ」

「……いえ。ただの友達です」


私が小さく答えると、先生は「そうか」と納得したように頷いた。


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