夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
私がブランコから立ち上がり、荷物を持って歩き出すと、青磁も少し離れてぶらぶらとついてきた。


風を感じながらゆっくりと歩く。

ぼんやりと空を見ていて、ふいに気がついた。


振り向いて青磁に声をかける。


「ねえ、青磁」

「あ?」

「どうしてあんなところにいたの?」


私の勘違いでなければ、青磁は確か、三つ先の駅を使っているはずだ。

誰かと話しているのを聞いたことがあるし、朝の通学のときにその駅で彼が電車に乗り込んでくるのを数回見たことがあった。


それなのに、どうして青磁は今朝、あの駅前にいたんだろう。


じっと見つめ返していると、彼は唐突に「散歩」と言った。


「え? 散歩?」

「悪いか」


なぜか睨み返されて、私は首を横に振った。


「べつに悪いなんて言ってないじゃない」

「そういう顔してただろ」


むっとしたように青磁が言う。


私は呆れてしまった。

まるで小学生と会話しているみたいだ。

疲れる。


「学校行く前に、毎朝散歩してるんだよ」

「ふうん……このへんを?」

「いや、色んなところ。あっちとか、こっちとか、適当に思いついたところ」

「はあ」


変なやつだ。知ってたけど。

毎日早朝から散歩しているなんて、どこのご老人?


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