恋愛の始め方
その後、どうやって帰って来たのかわからない。

気付いたら、実家の診療所が見えて居た。

あ、お父さんの所に行くんだった。

そう思い出し、近くの小さなスーパーで必要なものを買い揃え、お父さんが眠るお墓へと向かった。

田んぼや木に囲まれた所に、お父さんは眠っている。


「田舎感、半端ない」


あたしはフッと、小さな笑みを漏らした。


「久しぶり、お父さん」


返事なんて返ってこないお墓に、あたしは話かける。


「言いたいこととか、話したいことはたくさんあるんだけど、とりあえず。お父さんは、間違ってなかったよ」


みんなが、それを認めてくれたよ。

女の子の家族は、許してはくれないけど。

< 117 / 404 >

この作品をシェア

pagetop