恋愛の始め方
零れ落ちる涙を堪えることはせず、あたしは泣いた。

体の水分が無くなるんじゃないかと思うくらい泣いて、あたしはゆっくりと実家へと帰った。

その晩は実家で過ごし、朝一であたしは地元を離れた。

再び半日を移動に費やし、午後一で医師団体の元へと向かった。

前と同じように案内された部屋に入ると、重役たちが待って居た。

重々しい緊張感に包まれた空気に、逃げ出したい衝動に駆られる。


「裁判は、君たちが勝ったらしいな」


今回の裁判に、勝ち負けがあったのだろうか?

よくわからないまま、あたしは空返事をした。


「今をもって、君の医師業務停止処分を白紙に戻す。君は今、この瞬間から医師として生きることができる。これからも医師法に則り、精進しなさい」


医師法、か。

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