恋愛の始め方
「盗み聞き?」

「それじゃ、俺が悪いみたいじゃねぇか。俺はただ、仮眠室で休んでただけだ」


あの時間に、誰かが仮眠室に居るなんてこれっぽっちも思わなかった。

極たまに、激務を強いられた医師たちが、次のシフトまで仮眠室を使うことはある。

だけど、それが今日だったとは。

タイミングの悪い男だ。

何の罪もない間宮のことを、あたしは勝手に悪者にした。


「医師には、戻らねぇのか?」

「・・・戻らない」


話を聞かれてしまった以上、嘘を付いても仕方ない。

そう思い、あたしは聞かれたことに素直に答えた。


「そうか」


間宮は賛成するわけでも、反対するわけでもなく、ただ1人で納得していた。

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