恋愛の始め方
間宮は、ゆっくりとあたしへと手を伸ばす。

そしてあたしが手にしてコーヒーカップを奪うと、そっと唇を重ねた。


「そんな顔すんな」


あたし、今どんな顔をしてた?

自分じゃ、確認のしようがない。


「ねぇ、抱いて」


初めてかもしれない。

自分から、間宮にお願いしたのは。

間宮は何も言わず、もう一度あたしに唇を重ねた。

そして、いつもより優しく抱いた。

勘違いしてしまいそうな程、優しく、優しく。

そこに、愛があるんじゃないか?

そんな、愚かな夢まで見てしまいそうだった。

この関係には、どこを探しても愛は存在しない。

愛なんて、存在してはイケない。

ちゃんと、わかっている。

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