恋愛の始め方
何よ、この一方的な手紙。

でも、何故だろう。

お父さんの言葉は、スッとあたしの心に入ってくる。

言い訳を並べ、揺らいでいたはずの心。

肯定も否定もされたくなくて、答えを探さず諦めた。

そして中途半端なまま、看護師に逃げた。

真剣に看護師をしている人たちにとって、あたしはとても失礼なことをしていた。

わかっては居たが、逃げるのが楽だった。


「顔、変わったな」

「そう?」

「あぁ。さっきと全然違う」


そう言われても、そんな実感はない。


「でも、さっき言った考えが変わった訳じゃない」

「人の考え方なんて、そう簡単に変わらねぇだろうな。それに正しいとは思わねぇけど、志乃の考え方が間違ってる訳じゃねぇと思う。同じ医師として」


同じ医師、か。

< 180 / 404 >

この作品をシェア

pagetop