恋愛の始め方
そんなの、菅原に言われなくてもわかってる。


「あなたと一緒に居ても、侑吾はあたしが呼んだら、あたしの元に来る」


だから?

だから、何よ。


「それって、惨めだと思わない?いい大人なんだから、潔く自分から身を引きなさいよ。今のあなたじゃ、あたしには勝てない」


嘲笑うような瞳で、人のことを見下す。

最後の言葉が、間宮のことだけじゃなく、医師としても過ごした時間も否定されたような気がした。

全てにおいて、あたしは菅原より下だ。

そう、言われたような気がした。

ここは、職場だ。

今は、勤務中だ。

堪えろ、あたし。


「それにあたしとあなたじゃ、立場が違うのよ。あたしのお父さんは、ここの心臓外科部長。あなたのお父さんは、田舎の診療所の医師。それで、患者さんのこと殺したんでしょ?裁判にまでなって」


その言葉に、あたしの中で何かがキレた。

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