恋愛の始め方
今になって、やっと思い出せた。

あの頃の気持ちを。


「お母さんが目を覚ました時、自分のせいで直哉が幸せを手放したこと知ったら、きっと悲しむ。だから、ちゃんと結婚しなさいよ」


あたしの言葉に、直哉は小さく鼻で笑った。


「なんで、お前に説教されなきゃイケねぇんだよ。今更中止にしたら、相手にも失礼だし、キャンセル料だってバカにならねぇから、辞めるわけねぇだろ」


絶対、嘘だ。

あたしが止めなかったら、直哉は絶対結婚を辞めてたと思う。

相手に失礼なのは重々承知で、何度も謝罪をするだろう。

医師で、大きい病院の跡取りなら、キャンセル料なんて大した額じゃないはずだ。

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