どん底女と救世主。


今日の営業一課は3分の1ほどが外に出ている。


ちなみに希ちゃんも課内にはいない。きっと仲の良い同期と社食にでも行ってるんだろうな。

別に興味ないけど。


残った課員達は愛妻弁当だったりコンビニ弁当だったりを各々食べている。

だけど、忙しい営業マン達は大半が食べながら資料に目を通したり、パソコンをいじったりしている。

その忙しいみんなが、なぜか今日は手を止め、ある一点に注目していた。


みんなの目線の先にあるもの、それは。


自分の席でお弁当を広げて食べる課長の姿。


派遣社員の澤田さんなんて、おにぎりを口に運んだまま固まっている。


それもそのはずだ。


いつもは昼休みでもコンビニで買ったサンドウィッチやおにぎり片手に仕事を進めている男が、わざわざパソコンのキーボードを端に寄せ、見るからに手作りの弁当を広げて食べ始めたのだから。

しまった…。


独身男が手作り弁当なんて、よっぽどの料理好きか、作ってくれる存在がいるとしか考えられない。


課長からの罰ゲームをこなすことに精一杯でそこまで気が回らなかった。


ああ、私はなんて気の利かない女なんだろう。
少し考えればこうなるって分かるはずなのに。

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