どん底女と救世主。


「ちょっと、課長どこに行くんですかっ…!」


課長の足はエレベーターホールを過ぎ、給湯室へと向いていた。

給湯室に辿り着いた瞬間、


ーーードンッ


「ーーっ…!」


給湯室奥にある冷蔵庫へと背中を押し付けられた。
目の前には、課長の顔。

少し腰をかがめているから、目線が同じになっていて、そのまっすぐな瞳とかち合う。
思わず目をそらすと、顔の横には課長の腕が。

今の私に逃げ場なんてない。


え、もしやこの状況って壁ドンというやつでは…?!

人生初の状況に頭の中は完全に真っ白だ。
おまけに顔からは火が、口からは心臓が出そうになっている。


私、なんでこんな状況になってるんだっけ…?


もう頭がショートしかけていたとき、目の前の課長がゆっくりと口を開いた。

< 151 / 260 >

この作品をシェア

pagetop