年下男子とリビドーと

「もう一度、考え直して欲しい……。せめて1ヶ月。俺との将来も含めて……」

……将来?
わたしとの将来を、考えていたの?

紘希が手を取ったまま、わたしの目を真っ直ぐに見つめた。
今までのどんな時よりも、真剣な眼差しで。

「俺は、一緒になるのは、莉南しか考えられない」

思いがけない言葉に、胸が高鳴ってしまう。
だけど……その言葉、どうしてもっと早く、言ってくれなかったの?

わたしは唇を噛んで俯いた。
紘希が触れている反対側の手を、膝の上でぐっと握った。

泣かない。
もう泣かない。

「……今日は、帰る……」


静かに紘希の部屋の扉を閉めて、真上に光る月を見上げた。

はっきりと拒否することが出来なかった。
嬉しいとか感じてないと言ったら、嘘になる。
この後に及んで、何を考えているんだろうか、わたしは。

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