空の上から愛してる
久しぶりの学校。
久しぶりの廊下。
さっきから体が震えている。
家を出たときより更に震えていた。
楽しそうに会話する生徒たちが羨ましく思う。
あたしはアザの部分を触り、唇を少し噛む。
泣いたらダメだ。
優くんが不思議に思うから。
いつも通り。
そう、いつものように。
教室に入る前に深呼吸をして、笑顔を作る。
「優くん、斉藤くん、おはよ~」
「おっす」
笑顔で迎え入れてくれる二人。
あたしはほっと息を漏らす。
「あれ?小林はペアリングしてねぇの?」
斉藤くんの何気ない質問を聞いて、自分の中がストップする。
そしてそれと同時に冷や汗が溢れ出る。
何か…言わなきゃ。
「…………今日忘れちゃって。ごめんね、優くん」
申し訳なさそうに言うと、少し寂しそうな表情を彼は向けた。