空の上から愛してる


そんな悲しそうな表情をしないで。
ごめんね。
そうさせているのはあたしよね…



「おぉいいよ」



もう一度『ごめんね』と言い、席へ着く。
騒がしい教室。
けれどあたしは一人、恐怖を抱いていた。



「百合…どうしたの?そのアザ」



また、思考がストップする。
優くんがアザの存在に気付いたのだ。
やはり半袖から見えるよう。
気づかれたくなかったけど、仕方がないよね…



「…あっ。ぶつけちゃったんだぁ~。百合ってドジだから!」




「バカやん!」



斉藤くんが笑いながらこう言う。



「斉藤くんには言われたくなぁい」




本当のことを言えていたらどれだけ楽だろうか。

本当のことを言ったら優くんはあたしを軽蔑する?

最低だ、と言って離れてしまう?


それが怖くて言えないの。



あたしはずっと優くんの隣にいたい。



そんな我が儘を聞いてくれますか。




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