いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



塾での出来事から2日が経った。


あのとき聞いた黒崎くんの言葉は。

全身の血が逆流する……そんな比喩がピッタリ当てはまるくらいの衝撃だった。


和久井くんとの会話に頭を悩ませている真っ最中のこと。

もしかして……なんて疑うことすら怖いのに、バッサリ刀を下ろすような黒崎くんの言葉に、あたしは震える感情を抑えられなくて。


『でたらめ言わないでよっ!』


いつになく力んでしまったのは、なにかが引っかかっているからだったのかもしれない。


狭い教室でのやり取りに、他の生徒はもちろん塾長までもがオロオロしていた。


『それは自分の目で確かめろ。明後日塾サボって図書室に来い』


黒崎くんは冷たい声で意味深な言葉を残すとそのまま帰ってしまい、あたしも到底勉強を続けられる状態じゃなくて早退したんだ……。






「はい。消せたよ」



律くんから黒板消しが返ってきたときには、あたしが消せる範囲のものまですべて消えていた。

シミひとつない、真っ新な状態の黒板。

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