いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「俺さ、知ってるんだよ。ふたりがこの教室に一緒にいるのが初めてじゃないってこと」
「……っ!」
「美優なにしてるかな、美優退屈じゃないかなって、グラウンドから時々教室を見上げるんだ。そしたら、さ」
ドクンッ。
「ふたりが向かい合うように立ってた」
いつもは日焼けして健康的な律くんが、どこか青白い顔で差したのは窓辺。
教室内をオレンジ色に染める大きな窓。
風通しのために開けられた窓からは白いカーテンが波打っている。
「あそこで」
そこは。
はじめて黒崎くんにキスされた場所……。
「……っ」
ウソっ……。
もしかして、あのとき見られてた…………?
かすかにあった不安は、いつもと変わらない律くんの態度からいつの間にか消えていた。
なのにやっぱり見られてて。
ずっと律くんは心に秘めたまま持っていたの……?
膝が小さく震えはじめる。
……どうしよう。
言い逃れなんてできないよ。
「ねえ、なにしてたの?」