いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



あたしはつい先日、小野先生と話す機会があった。

律くんの彼女だった当時に、誤解を生むようなことをしてごめんなさいと言われたんだ。


あたしが彼女だということは、最初から知っていたみたい。

律くんがきちんと伝えていたようで、彼女に迷惑が掛かることだけはしたくない、それが条件だったって。

だから、あたしの目に触れることのない時間を選んで会っていたんだと。


『私が弱かったせいでごめんなさい』


あたしたちが別れたのを知っているのか、小野先生はすごく申し訳なさそうな顔して謝るから。


『絶対に先生のせいじゃないです!原因はあたしにあるんです』


それ以上を言うつもりはないけど、ウソじゃないその言葉を伝えると、小野先生は少し切なそうに……でも優しく微笑んでくれた。


自分を恨んでいっぱい泣いて、つらい月日を過ごしてきた小野先生。

黒崎兄弟に恋をした……という共通点を持つ小野先生には、どんなことがあっても幸せになってほしいと心から願った。

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