もしもの恋となのにの恋

残酷な現実

もしも、千鶴の傷を少しでも癒せるのならば俺はどんな苦痛も努力も厭わない。
俺は今でもそう思っている。
俺は本当に本当に千鶴のことが好きだ。
宮原さんとの結婚が決まった今でも・・・。
俺はきっと死ぬまで千鶴を思い続けるだろう。
死んだ忍を思い続ける千鶴のように俺も・・・。
俺は傲慢で強欲な人間だ。
俺と千鶴はよく似ている。
だから俺は千鶴に惹かれた。
俺は千鶴以上にできた人間を知らない。
千鶴は万能だ。
それでいて千鶴は歪な感情を持っている。
重たく、黒い感情・・・。
それが俺を堪らなく惹き付ける・・・。
型にはまった善人よりも何かが圧倒的に欠落している善人の方が面白いし、人間らしい。
人間は愚かで浅はかな生き物だ。
それがなければ俺は人間であって人間ではないと思う。
千鶴は知っている。
自分の愚かさと浅ましさを。
だから俺は千鶴に惹かれた。
もっともっと千鶴を汚してやりたい・・・。
そんなことを思う俺は極悪人のゲス野郎だと自分でも思う。
もしも、千鶴が俺のモノだったならば・・・。
何度、俺はそんなことを思い、願った？
なのに・・・現実は違う。
現実はいつだって残酷だ・・・。