もしもの恋となのにの恋

追憶

司とはじめて会話をしたのは高校に入学して一週間ほど過ぎ去った頃のことだった。
その日の朝は全校朝礼が行われるため生徒も先生も皆、体育館へと集められた。
司はその全校朝礼の最中に私の元にツカツカとやって来るといきなり『大好きです』と叫んだのだ。
司のそのあまりにも唐突な行動に私は見事、面を食らってしまい、ただただ、瞬くことしかできなかった。
私と司は当然のことながら生徒指導の先生に捕まり、長いお説教を頂いた。
その間、司はこの世の終わりと言うような顔でどこか異世界へと旅立っていた。
私は単純に司のことを面白い人だと思った。
それに司はどこか忍に似ていた。
私はそんな司に少し、惹かれた。
そして、司のことを知りたいと思った。
もしも、この人と恋に落ちれたのならば私は少しでも前に進めるだろうか?
そんなズルいことを思ったのを私は今でもはっきりと覚えている・・・。
私は本当に今も昔も嫌な女だ・・・。
< 19 / 105 >

この作品をシェア

pagetop