もしもの恋となのにの恋

私は村上忍のことが好きだった。
村上忍はあの日、あの海で死んだ。
もう、村上忍は帰って来ない・・・。
なのに・・・だ。
私はそれでも村上忍を好きでいる。
けれど、今の私には恋人で婚約者の宮原司がいる。
宮原司はこんな私のことを本当に愛してくれている。
本当にありがたい・・・。
なのに・・・だ。
私はそんな宮原司を時々、煩わしく思ってしまう・・・。
そして、宮原司にはもっと『相応しい人』がいるのではとも思ってしまう・・・。
東雲秋人(しののめあきと)は昔から私にとって、とても大切な友人だ。
そして、それはこれからも変わらないと私は信じて疑わなかった・・・。
なのに・・・だ。
ここに来て何かが軋む音をたてだした・・・。
私はその軋む音を聞きながら心の内で笑っていた。
何が可笑しいわけでもない。
なのに・・・だ。
私はこれからどうするべきなのだろうか?
だが、もうその答えは自分の中で決まっている。
私は私の意思でその答えを選ぶ・・・。
それで何か悪いことが起こっても仕方がない。
私は私の意思に従う・・・。
人は傲慢で強欲な生き物だ。
そして、人は無力で現実はいつだって残酷だ・・・。
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