甘く、温かいドリンク
よほどストレスが溜まっているのだろう。
君は本能のままに私を抱いた。

べつに、かまわないのだ。それで君が少しでも楽になるのなら。
たまに寂しく思うことはあるけれど。


付き合いたてのころのような、熱い目で私を見るようなこともなくなった。
君は気づいていないかもしれないが。

事が済めば、煙草に火をつけて、私にシャワーをうながし、帰り支度をする。

抱かれている時間は幸せだが、時間は無情で、現実を突きつける。

君は眠い目をこすりながら運転し、私を家に送りとどけ、奥さんと子供のいる家に帰る。


いつも通り、いつも通りだ。
これが私たちの日常なのだ。

人に話せば笑われるだろう。あきれられるだろう。いや、私の価値感がマヒしているだけだから普段は気づかないのだが、普通の人は私を非難するだろう。当たり前だ。そして不潔だというだろう。

なにもしらないくせに。

君がどれほど私を必要として、愛していて、苦しい時間を乗り越えて二人でここまできたか、知らないくせに。

結婚という、契約の意味を考えたこともないような奴らが私たちを非難するのだ。
永遠に愛する約束など、おとぎ話のなかだけだ。
社会的責任を負う契約を、愛と混同すべきでない。


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