キミの隣、笑顔のあなた



フワッ—————

澄にいの声が聞こえたと思った次の瞬間、私の視界が、いつもより高くなった。

ボーっとしていた頭でこれがお姫様抱っこの状態だと気づくには少し時間がかかってしまった。

「・・・っえ?」

「ほら、どこに行けばいいんだよ。」

「いや、でも風邪移る...」

「いいから。ほら、どこ?」

「・・・っあ、えっと、私の部屋。」

「了解。」

にっと私が大好きな笑顔で笑って、私の部屋へ向かってくれる澄にい。


・・・鍵、ちゃんと閉めたかな?


「大丈夫。閉めたから、安心しろ。」

私の心の声を読んだように、私の疑問に答えてくれる澄にい。

身体がふわふわして気持ちいい。

————ああ、これは夢か。

「夢じゃねーよ。」

いや、そんなわけない。

夢じゃなかったら、澄にいが私の心を読めるわけもないし、こんな幸せなことない。

澄にいがこんな近くにいて。私をすごい心配してくれて、私をお姫様抱っこしてくれて。

澄にいのその表情、その仕草。
今だけ、夢の中でだけでいい。
だから、今だけ、私のものになって下さい。


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