冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「EMISIAは、本当にジョルフェムを追い出したいんでしょうね。でなきゃあんな嫌がらせさすがにしないですよ!」


みゆちゃんは本当にもう辛いと、何度も零していた。今日まで交代で打ち合わせや準備をしてきた。


それが初日に何も生み出せず、朝からずっと入ってはすぐにでて行くお客様を見送るだけ。どうしてこんなにジョルフェムは低迷してしまったのだろう。何を売りにしたらいいのかな?


「・・・ここまで相手にされないと、意地も失っちゃいますね」


さすがにジョルフェムが好きだと大声で叫ぶだけじゃ何も彼女たちには響かない。でも、私はそれしかできないし、それしかやって来なかった。失っては少しだけ取り戻す自信。

だけどさすがにここまで落ち込むと自信すらどう、取り戻していいのかわからないくらい、凹む。


「・・・電話しなくていいの?私に愚痴るのは全然構わないけれど、桜木を元気にいつも通りの明るい笑顔に戻すことができるのは、あの人だけじゃない?」


「・・・ダメですよ。だってあの人は、今の私の最大のラスボスですから。認めてもらえなきゃ私、消されちゃうんですよ」


「・・・相当、参ってるわね、二人とも」


結局、三人で終電近くまで飲んだけれど、何も思いつかなかった。私とみゆちゃんは完全に落ちていたし、三宅さんは私たちを励ますことで精一杯だった。


ふらふらの千鳥足でなんとか家にたどり着いたもののシャワーを浴びて寝なければ明日もまたEMISIAに行かなきゃいけない。
< 137 / 152 >

この作品をシェア

pagetop