冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「何も遠慮なんてしなくていいのに」


「遠慮じゃありません。本当に着れる自信がないからお断りさせていただいたんです」


意を決して、社長の腕を掴み、店員さんに謝って店を出た。社長は少し不機嫌だったけれど着ない服を買ってもらうなんて申し訳ない。


でも、このまま何もいりませんじゃまた機嫌を損ねてしまいそうなので、私の行きつけのファストブランドのお店に行こうと思っていた。


それなのに、社長に「ここはどうだ?」と言われ、立ち止まってしまった。


そのお店は、私の地元のショッピングモールにもあったお店で可愛いフェミニンテイストのお店。決して、奇抜ではなく、先輩たちもよく使っている私からすれば憧れのお店だった。


ジョルフェムのブランドにも合っている。でも、やっぱりファストブランドと比べれば高い。


「俺がみぃに買ってやりたいんだ。俺が選ぶとまたさっきみたいな買い方になる。それでもいいのか?」


「・・・ここがいいです」


そう言った私に優しく笑みを浮かべた社長と共に、店内にゆっくりと足を進めた。ちなみに社長、さっきの高級ブランドでは眼鏡を外していた。

それなのにここに入る寸前に外していた眼鏡をかけ直した。ということは「社長」と呼んではいけない。気をつけないと、朝のような恐ろしいことになるのだけは勘弁してほしい。
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