遠まわりの糸
画面をよく見ずにスライドした。


「朱里、いまどこ?」


「サク何言ってんの、俺だよ、亮太だけど。


『あかり』って誰だよ、彼女か?」


「あー亮太か、悪い。


久しぶりだな、どした?」


「年末、奏が北海道から帰ってくんだよ。


だから3人で集まろうかと思ってさ」


「おー、いいじゃん、行く行く」


「また追って連絡するからさ。


ってか、サク彼女と揉めてんの?」


「たいしたことねーよ、心配ないって」


「こじらせる前に謝っちまえよ」


みんなして、おんなじことアドバイスすんだな。


経験者は語る、ってことか。


「悪かったな、焦って出ちまって」


「あかりちゃん、連絡つかないんだろ?


実家とかじゃないなら、友達のとこか、ネカフェじゃね?」


「アパート行ったけど、居留守なのか留守なのか応答がなくてさ」


「何があったんだよ」


俺もつい愚痴りたくなって、朱里の誕生日だったのに目の前で誤解を招くようなことがあった、ってことを話した。


「なるほどね、女が一番嫌がるパターンだな」


「でも俺、やましいことなんて何もしてねーのに」


「あかりちゃんはヤキモチやいてんだろ?


おおらかな気持ちで受けとめてやれよ」


「会社で会うの水曜なんだよ、俺は月火休みだから」


「だったら明日、あかりちゃんが退社する頃に待っててやれよ。


プレゼント渡せるし、誤解を解かなきゃダメだろ。


女は、そういうサプライズに弱いんだからさ、効くと思うけど」


待ち伏せするなんて、思いつきもしなかった。


「さすが、恋多き男は違うな」


「俺もいま、後輩とつきあってんだよ」


「なんか、教師同士の恋愛って、ドラマみたいだな」


「ま、今度会った時にお互いゆっくり話そうぜ」


亮太の後押しで、明日の月曜に朱里を待つことにした。














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