親友の死、コトバは罪より重い(アメリカイヌホオズキ)

「俺は日比野とは違う」


蒼井くんはズボンのポケットから携帯を取り出した私に見せた。


メールの送り先(尾崎)とメールの内容。

それは言葉を失ってしまうかのような酷い中傷メールだった。


「加藤はあの様から見て違うから偽物の犯人。だけど尾崎は本物の犯人」


「だからって、こんなの酷い！」


いくら何でも酷すぎる。


「俺はクラスの流れに乗って、空気を読んで泳いでいただけ。尾崎は自業自得だ。クラスの大半はやってる。まぁ日比野ぐらいだな、やってないの」


「そんな事ない。内海さんや水谷さんは尾崎さんを気にかけていた」


「内海と水谷…か…」


蒼井くんは携帯をポケットにしまい一度天井を見上げ、その後私の目をジッと見た。


見つめられているわけじゃない、見られているんだ。心の中まで見透かされそうだ。


「尾崎の心はガラスなんだよ」


「え？」


「繊細で心がガラスのように割れやすい女だったんだよ。それだけの話だ」


「あ、蒼井くん…！！」


蒼井くんは私の声に足を止める事なく進路指導室から出て行った。


心がガラス？今のって何かの暗号？そうとも思えないけど。


それよりも今日の蒼井君は不思議な雰囲気だった…瞳に光が無いようなそをんな感じ。


というか、クラスの大半が尾崎さんに中傷メールを送っていたなんて。


私は何も知らなかった。

気づかなかった。


もしも私に、あんなメールが大量に送られてきたら精神がもたない。


まさにガラスの心

強いて言うならグラスハート。

繊細で弱い心を持っている。


みんなそれを知っていたからこそ中傷メールを送ったりしたの？


天城さんじゃないけどメール送る暇があるなら受験に集中するべきだよ。


「どうして、みんな…」


今日は、尾崎さんと最後の挨拶をするから受験の事を考えなくていいよね。


ねぇ尾崎さん、貴女は罪を犯したのかもしれない。


でも貴女の体には温もりも魂も無い。


だから、あえて私は言いたい。


貴女は天国に行くべき。天国で沙耶に償いをして。それで沙耶に許しを貰って天国では逃げないで対話をして。


そして終わらせるの。

さようなら、尾崎さん。