家政婦だって、恋したい




藤崎家のご令嬢と並んで入ってきた、どこの家のご令嬢か分からない謎の美女に、周囲は釘付けになっている。

それに気づいていないであろう結衣は、周囲の視線から逃れるように緑花と朱音の後ろに身を隠しているが、はっきり言って意味がない。




拓哉が言っていた、『最後のチャンス』とはこの事だったのか…

俺は結衣から拓哉に目線を移すと、拓哉がしてやったり顔で俺を見ていた。





「あっ!麗奈姉と拓兄発見っ!ついでに碧兄も。」

緑花が俺の名を呼ぶと、結衣はビクッと肩を震わせた。


…やはり、結衣はもう、俺のことを好きではないかもしれない。


俺以外が何やら話ていたが、結衣が気になって全く入ってこない。




終いには、朱音に空手チョップを食らわされてしまった。

「いっ…」

「ちょっと弟、面貸しなさい?」

「は?何で「いいから」

俺の言葉を遮って俺の腕を掴んだかと思うと、会場の外へ引っ張られてしまう。





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