もしも、もしも、ね。


ユウは私の瞳を真っ直ぐ見返して、

すこしきょとんとして、

それから考え込んで、

バカにすることもなく真面目な顔して、



「暁里は“暁里”。お前が一番知ってるだろ?」



と、微笑んだ。

違う。

私より、ユウの方が“私”のことを知ってるくせに。



だって。



癪だけど、“私”を表に出したのは ユウ 、だから。

きっと私は青汁でも飲み干したような苦々しい顔をしていたのだろう。(だって悔しさのフルコースだもの!)

ユウは「なんて顔してんだよ。」と喉をならした。



「私は、“私”・・・か。」



呟くように反復すると、ユウは「そうそう。」と頷く。

私は“私”。“私”も私。

わかってる。わかってた。

本当は。言われなくても。

ユウなんかに、確認するまでもなく。

それをすんなりと飲み込めない、理 由、は。





“私”は、 「嘘」の始まりから生まれた 、から。





嫌いじゃない今の“私”は、「本当」に、“私”?

変わったんじゃなくて、引き出されたわけでもなくて。

今の“私”は、「嘘」で固められた、作り物?



新しい“私”の欠点はきっとネガティブなこと。

そう思って、自嘲気味に笑った。


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