もしも、もしも、ね。


出た。望果の特技、その名も“かみ合わない発言”。

別名“会話のキャッチボールが出来ない発言。”

私の突っ込みに、望果はまぁまぁと笑った。

はぁ、と大きく息を付きながら、私は呆れ8割に言葉を続けた。



「大体、ダブルデートって言ったって、望果と准君は・・・」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・え?」

「えへへー。」



言葉の途中で望果の表情に違和感を感じる。

思わず無言になるが、耐え切れずに何も無いのに聞き返す。

私の頭によぎった「まさか」に気付いたのか、望果は照れたようにVサイン。



「ア、ア、アンタたちいつの間に・・・。」



ホントいつの間に?

望果と准君が、付き合ってるなんて。

唖然としていると、准君が何処からともなく望果の隣に現れて、

「なー?」なんて言いながら見たことも無いようなデレデレした表情で彼女の頭を撫でた。

それから、この言葉が冗談じゃないということを改めて見せ付けられる。

しばらく准君と二人きりの世界を作り上げていた望果だけど、

ふと顔をこちらに向けた。

そして、悪魔のように口角を吊り上げて、



「ダブルデートしてくれたら、教えてあげる。」



なんて言ったのだった。

親友の話はさすがに聞きたい。

私は思い切り肩を落として「わかったわよ」と呟いた。

白旗、あげます。


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