もしも、もしも、ね。


「で、改めて。何の用なわけ?」



私は少しだけ悔しくなって、熱いままの紅茶を飲む。

痺れるような刺激にちょっとだけ顔をゆがめそうになったけど、必死にこらえた。



「あぁ・・・って話す前にてめぇ!マジで着信拒否してやがったな!!!」



突然陸斗が怒り出す。

いきなりの感情・口調・表情・声音転換に、私は反応が遅れた。

ゆっくりと脳内反復し、

それから理解してポンと手を叩く。



「そうだった!」



陸斗は脱力したようにうな垂れて、「お前なぁ」とため息混じりに呟いた。

そうは言ったって忘れていたんだから仕方ないでしょ。

(まぁ覚えていたところで、解除する気は更々ないけれどね。)

陸斗はぽりぽりと頭を掻いて、



「そんなに俺のこと嫌い?」



と眉を下げた。

わざわざ嘘をつく必要もなければ、媚びうる気もない私は、

「嫌い。」

と容赦なく一言。



「―――ま、仕方ねぇよなぁ。」



陸斗はそんな私に何を言うわけでもなく、小さく零して苦笑した。

それから、優雅にコーヒーをすすった。

同じように顔色一つ変えない私が言える言葉じゃないけれど、

陸斗はこんなに淡々と昔の話をぶり返して何をしたいんだろう。

ほんの少し眉を寄せると、「そんな顔するな」って陸斗は笑った。



「ていうかさ、アカリ?」

「ん?」

「お前、文化祭から今日までに何かあったわけ?」



私は、陸斗の顔を穴が開くほど見つめて目をぱちくり。

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