もしも、もしも、ね。
だって、私を迎えに来たのは
「さっきぶりですねぇ、アカリ先輩!」
「え、恵理奈・・・さん?」
「わぁ、私のこと覚えて下さったんですかぁ?」
嬉しい!そういいながら私の腕を掴んで跳ねる美少女に、ただただ私は固まるばかり。
もう理由を説明する必要もないだろう。
どういう関係か、どういういきさつか、私にはまったく分からないけれど。
私を迎えに来たのはあの恵理奈さんだったのだから。
「あの、恵理奈さん?」
「さん、なんてつけないで下さいよぉ。呼び捨てでいいですって!」
「じゃぁ恵理奈ちゃん。あの陸斗の代わりに迎えに来たって・・・どういうこと?」
私が引きつりながら聞くと、彼女は大きな目を更に大きくさせた。
「え?もしかして兄説明しなかったんですかぁ?」
「うん、聞いてない・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・兄?」
たっぷりと時間を掛けて私が反復すると、彼女ははいっと元気に手を上げた。
「斉藤 恵理奈、正真正銘の三上陸斗の妹でっす!」
「え?だって苗字違・・・」
「まぁ細かいことはいいからいいから!」
こ、細かくないでしょ!!
そう突っ込みたいけれど、もう恵理奈ちゃんのペースに巻き込まれっぱなし。
「行ってきまーす!」なんて私の代わりに家の中に挨拶してくれちゃって、
私の両親も声の違いに突っ込むこともなく「行ってらっしゃい」「早く帰って来いよ」なんて言って。
いやいやいやいやいや!!
私は目を白黒させて・・・気付いたら、自転車の後ろに座っていた。