クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
きっと今なら誰も温泉にいないだろうと、支度を一式持って部屋を出た。
途中で遠巻きに宴会場を見れば、まだまだ盛り上がっているようで、どんちゃん騒ぎになっている。
こんな夜は雨か雪でいいのに、やけに神々しく輝く月が脱衣場の私を待ち構えていた。
「気持ちいい……」
泉質の案内が端に掲げてある。
疲労回復・リラックス・肌荒れ・冷え性……。
結構何にでも効くのかと、肩まで浸かって大きく息を吐いた。
疲労回復できるなら、心の奥底まで染み入ってくれないかな。
今ごろ、柏原さんはあの子と一緒にいるはず。
私みたいな仮面をかぶって、本当の自分を出さずにいる女とは違う、素直で積極的な子が彼には似合う。
私みたいな。
私なんか。
誰も、見向きもしない。
それでいいと思って、日陰のポジションを選んだくせに、1度でも知ってしまった社内恋愛の味はなかなか消えそうにない。
自分は嫌いになれても、彼を嫌いになれない。
最低だと知っても、思い出がやたら彼を庇うんだ。