クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
濡れた髪をまとめて浴衣を着れば、やっと温泉旅行っぽさが出た。
地味子の仮面を取って、すっぴんの私で館内を歩く。試しに未だ盛り上がっている宴会場の前を通りかかり、偶然後輩くんとすれ違ったけれど声をかけられることはなかった。
素顔の私を知っているのは、柏原さんだけだ。
それもなんだか癪だけど、変えられない過去は受け入れるしかない。
売店で缶ビールとおつまみを買い、部屋に戻って髪を乾かす。
テレビをつけてしまったら、家で過ごしているのと同じだと思い、持ったリモコンをテーブルに戻した。
時計を見れば、20時。
予約時間の関係で、宴会もそろそろお開きになるはずだ。きっといつになく酔った人が多いだろうと想像がつくほど賑やかだったし、しばらくは自室にこもっている方が賢明だろう。
部屋の出入りを誰かに見られたら、地味でやってきた毎日が泡と消える。