クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「お先に失礼いたします」

「お疲れさまでした。気をつけて帰ってください」

 いつだって、私の挨拶にまともな反応をしてくれるのは千堂部長だけ。今日は新入社員くんが目礼をしてくれただけいい方だと思う。


 社を出て、最寄駅まで一目散に歩くこと6分。直行するは女性用のお手洗い。
 きつく結っていた髪を解き、持ち歩きのヘアアイロンで緩く巻いてスプレーで仕上げ、アイシャドウとチークを少しだけ濃くして、唇にリップグロスを塗った。
 自宅から持ってきていたカーディガンは、地味な私には不釣り合いなビジュー付き。フランスからわざわざ取り寄せた9cmのポータブルヒールをバッグから出して、履いている3cmと付け替えた。


「ま、こんなもんかな」

 金曜の変身タイムはもはや恒例。
 本当の自分を解放しなくちゃ、地味路線で過ごしている毎日が報われない。


 ネイルサロンの予約までは少し余裕がある。
 駅構内のショッピングフロアで、服やコスメを見て歩いて時間を潰した。
 

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