クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「どうせ、ロクな男いなかったから帰ってきたんだろ?」

 違う、と言いかけてぐっと言葉を飲む。
 部長が好きって気付いたからだなんて……言えるはずがない。



「いましたよ。2次会誘われたけど、断ってきたんです」

「なんで」

「それは……まぁ、いいじゃないですか。気乗りしなかったんです」

「ふーん」

 ニットの袖を適当に捲り上げ、キッチンで手を洗う部長を見つめる。

 石鹸の泡にまみれる細長い指が、妙にセクシーで美味しそうに思えてしまうなんて、単純な自分に嫌気すら感じる。



「ま、つまらないクリスマス過ごすならつき合ってやろうと思って」

 彼の視線が、テーブルの箱に戻された。
 
 開けていいと促され、そっと中を引き出す。

 部長が部屋の明かりをつけ、買ってきてくれたのがシフォンケーキだとわかった。
 上に、【Merry Christmas】のチョコプレートが飾られていて、何よりも嬉しいプレゼントをもらえた気がした。


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