クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 ウィンドウを下げて、少しだけ顔を出す。
 冬の風が鼻の奥をつんとさせるから、涙が滲んだ。


「ごめん、明日は先約がある」

 途中から聞こえた会話に耳を澄ませてしまうのは、良くないことだって分かってる。
 でも、気持ちの一端を引っ張り続ける昨日の夜の出来事が、私の性格を悪くする。



「会いたいって、昨日会ったのに?――分かった、どこかで時間は作るけど、とにかく明日は無理だから」


 部長が言う先約は、きっと私との約束だ。


 だけど、誰と話してるの?
 一緒にいた人って誰?

 「会いたい」と素直に言える、電話の向こうのあなたは誰ですか?




「ごめん、行こうか」

 程なくして戻ってきた彼は、何事もなかったようにする。


「夜ごはん、どうしますか?」

「食べたばかりじゃ浮かばないよ」

 こんな話がしたいわけじゃないのに、何か話さなくちゃ不安と嫉妬に押しつぶされてしまいそう。



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