クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「瀬織が人一倍頑張り屋だってこと、みんな分かってるよ。目立たない仕事もいつ役に立つのかわからない裏方も、嫌な顔しないでやるでしょう?そういう部下を持てることは、上司にとってありがたいんだ。任されたことをやり抜くっていう当たり前のことを、真正面から受け止めて立ち向かって……瀬織がいて本当に良かった」


 彼を尊敬するのは当然のことで、彼が私を可愛がってくれるのも不思議なことじゃない。



 私が彼を、名前ではなく役職で呼んだのは、ここを出ていくまでに少しずつでも離れるためだ。

 彼が私を、名前ではなく名字で呼んだのは、仕事のために続けてくれていた生活が終わることを受け入れてくれたからだと思う。
 やっと、私が巣立つような。そんな温かい気持ちで見届けてくれているんじゃないかと思うんだ。

 片想いを諦めるためには、時間を共有している中で、ちょっとした隔たりを作っていかなきゃいけない。


「……それと」

 ソファに並ぶ距離。
 それは、上司と部下以上の距離。


 再び話し始めた彼に、私はゆっくり目を向ける。


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